ウォッチメン コミック版【感想】

★★★★

 

アメリカ文学の傑作と聞いて読んだ

 

映画っぽいと最初に思ったけれども、アメコミがよく映画化されているからなのか、ウォッチメンが映画的な演出を参考にしているのか理由はわからない

いわゆるアート的なものに薄さや刺激のなさを感じてしまう。ジャンクフードばかりを食べすぎて、吟味された料理のよさがわからなくなっている状態なのかもしれない。アートが単なる見栄のために生まれたものなら、ここまで広がることも評価されることもないと思う。

何か根本的な喜びのようなものがない。単なる時間つぶしのようなものに感じる。別にそれがなくとも楽しみは世の中にあるし、アートが世の中に彩りや意味や真実を与えている感じがしない。なければないで寂しくは感じるだろうが、いわば生活必需品のようなもので、特にそれを追求する意味が自分の中にない

 

別に自分は芸術的なものは好きではないんだろう。当意即妙な会話や人との広い意味でのコミュニケーションのセンスにはとても興味がある。様々な作品に触れているのも結局そのためのネタ探しであって、作品や対象そのものを愛している訳ではない。

文化に触れ続ければ、コミュニケーションのセンスが磨かれるのかというとそれはわからない

 

徐々に陰謀が明らかになっていく様子や、ロールシャッハの影響に精神科医が飲まれていく描写は印象に残ったが、正直なところ「それで?」と思ってしまう。これが何か真実や意味のようなものを表しているんだろうか

 

とにかくたくさん読んで、聞いて、足を運んで試してみるべきだろう。自分が感動することはなくても何が美しく、何がカッコいいのかのリストはたまるし、世界観の幅の広がりは感じられるだろう。身体感覚や内面それ自体に興味があり、特に根拠も大きな発見がないにも関わらず面白みを感じられるように、文化にも興味を感じられるようになるだろう

 

いかにも感性の無い人のやり方だが、気に入った点を列挙する

  • 初代ナイトオウルのワーグナーにまつわる悲しい話
  • 自分が生まれた研究所の廃墟に訪れるDr.マンハッタン
  • ロールシャッハが因縁のあった小男をトイレで殺害したと示唆するシーン